2007年5月の庭　No.7

2007年5月の庭 No.7

この冬、
ふとしたご縁でお伺いしたバラ好きの方のお庭。
そこかしこで目にとまったツユクサのような葉の下草。
小さな白い花が咲くということで心惹かれ、
一鉢ほどいただいてきてしまいました。
名をブライダルベールという。
帰り道その名を忘れてはならじと繰り返す内、
それが数十年も前に今は亡き義母が
義妹と私それぞれのために、
丹精込めて吊り鉢に仕立ててくれた観葉植物のことだと
記憶が繋がりました。
名をブライダルベールという。
ああ、確かに、
確かにブライダルベールという。
あの繊細な白い花と「アンズの庭」で再会できるのか。

果たして、花が咲きました。
ああ、確かにブライダルベール。
しばし、義母に思いを馳せ、
義妹に思いを馳せ、
そしてバラ好きの方に思いを馳せ・・・。
思わぬところで人が繋がる不思議を思いました。

今、バラの咲き誇る「アンズの庭」にいて、
冬、バラ好きの方と
すっかり葉を落としたバラを前に共有した時を思い起こします。
なぜバラは枯れたかのような冬の枝でさえ、
人を惹きつけるのか・・・。

私のまわりには不思議が満ちています。
その不思議のひとつひとつに
「なぜ」という羽をつけて飛ばしてみたら、
どこかのどなたかのところに届くような・・・。
私のまわりには可能性も満ちているから、
きっと。